「もちの木」は実は「常盤木」で今は「バナナの木」。
千代田区飯田橋一丁目にあるホテル・グランドパレス。この横に細い小さな坂があります。冬青木坂です。冬青木はモチノキと呼びます。江戸時代、九段坂はかなりの急勾配だったそうですから、この坂も同じように急な道で、その坂をフーフーいいながら登り、ふと空を見あげると、緑影をもたらす「もちの木」が印象深く目に飛び込む。そんなことを想像します。
古書「新編江戸志」によれば、「もちの木」と思っていた木は実は常盤木(ときわぎ)であったようですが。いずれにしても坂の上に古木が行き交う人を見守っていたのでしょう。その木は火災で一度焼けた後に、坂の途中にある磯野丹波守の武家屋敷内で、再び枝葉を見せていたともいわれています。
その木があったと思われる場所は、千代田区富士見一丁目の
この洋館が取り壊して高層ビルにする計画がある、とのニュースが流れてきました。歴史的な建物を保存するのか、それとも壊される運命なのか。「もちの木」にしても「常盤木」にしても、古木から「バナナの木」になっても、緑濃い坂の上でこの町を見続けて歴史を知る木々は、この人間のニュースを、どう見ているのでしょうか。考えさせられました。
■DATA:09年11月02日
■千代田区富士見1-1-1『冬青木坂(もちのきざか)』
■TEXT&PHOTO:渡部(有限会社ベプロ)
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